七色の糸車/大覚アキラ
七色の涎垂らす馬鹿げた糸車。七色の糸が涎のように垂れて車は廻るのだが。
そこには意図は無い。
返せ。涎。七色の。七色に。七色が。七色は。七色と。七色も。七色で。垂れている。
まだやっぱり意図は無い。
涎は朝になるまでには細く細く垂れて伸びたまま固まって七色の硬く新しい物質に化学変化するだろう。だろうか。
しかしそれでも意図は無い。
糸車に乗って出掛けて。もちろん行く先は涎公園で。でも公園の前では駐車違反の取締りをしている警官がいるので。糸車を駐車場に停めて。涎公園では早くも集まった人々が涎の長さ細さ美しさなどを競い合っていて。喉が渇いていて。口の中が乾ききっていて。それで。参加できなくて。泣いて。
なおかつどこまでも意図は無い。
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