くらげの日々/知っている/石田 圭太
 
を奏でているみたい
 
 観客と呼べるものは
 作業中の僕と招き猫くらいのものだが






+夜の紅一点

 ほどなくシンプルな花の種が
 アスファルトの海に飛んでいった
 街には強く咲く花があるというが
 根の割に身体は小さいという
 
 およそ検討もつかない胃痛の空を
 今も飛ぼうとしている






+合わせ鏡

 懐かしい声がするので振り返ってみると僕が居た
 しかもふたり
 目を凝らすと少しずつだけ歳が違っていたが
 それが僕らの決して縮まらない距離だった





+君

 美化してしまうので特に書かない
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