異常な時代に抗する言葉/岡部淳太郎
いまさらながらだが、まったくおかしな時代になったものだと思う。恐らく多くの人が感じていながら、それでも黙っているのだろう。二十一世紀という現代に生起する現象、人の思惑同士が交差し合い、とんでもなくおかしな事態が出来してしまう。人が人を傷つけ、時には命を奪いさえする。それもさしたる理由もなしに、だ。昔だったら、貧困でやむにやまれず犯罪を犯すというパターンが多かったのだが、現代においては、昔の基準では理解しがたいほどに人の心が捩れ始めている。
犯罪という、目に見え形に表れるものだけではない。どこか人の心がぎすぎすして、誰もが余裕をなくし、必要以上に急いでいる。目先のことに囚われ、遠くのものを見よ
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