影街/天使
 
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みんなが逃げていった方向は すべて吹き飛んで

家も 電信柱も もちろん人も・・・・

跡形もなく吹き飛んでいた

僕は 山から降りた

そして 歩いた

さっきまで 僕が寝ていたところまで 歩いた

ついたらそこは・・・・影人形のようだった

もっと歩いていくと マネキンがいっぱい転がっていた

よく見ると ドロドロにとけている

もっとよく見ると 白い骨が出てた

そう・・・マネキンじゃない  


人だった

ここに転がっている 人形は・・・・すべて人だった

僕はむごいことを思った

あの黒い羽が落ちて 町が赤く染まるのを

「綺麗だな」

なんて思っていた

だけど・・・・現実はそんなもんじゃない

僕は苦しくなった

けがもないし 病気も無い

だけど 胸のあたりが苦しかった

自分だけが助かった それだけであやまちのような思いをした

何も無い街は まるで影遊びのように くっきりと残っていた
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