コトバ紀/043BLUE
じられなくなった人間を
哀しみながら
それでも
ぼくは過去の人間を
羨ましく思う
完成された世界で
完成されたモデルを生きる
こんな世界よりも
不完全な世界で、
不完全な誰かを信じたい
不完全な言葉を信じたい
不完全な自分を信じたい
誰かを傷つけ傷つけられながら
愛し合いたい
完成された世界に
なくなってしまったもの
それは「信じる」ということ
なのかも知れない
それを
取り戻すために
ぼくは
もう一度
言葉を手に取りたい
それが
完成された世界を
壊す行為であることを
知りながら
ぼくは
もう一度
言葉を信じたい
戻る 編 削 Point(2)