僕のノートパソコン/haniwa
翌日、気を落ち着けてから
いつものようにノートパソコンの前に座り
電源を入れた
いつものようにエディタを開いて
つまらない/ありふれた詩を書きはじめた
ノートパソコンは黙っていた
黙って僕の入力を画面に反映していった
ふおーんとかすかな音がしてファンが回り始める
その様子はまるで
僕のことをうらやましがっているみたいだった。
けれども本当のことはわからない
なにしろスーパースカラー、ズルしたって結果を出せばそれはそれはスウィートにスマート
もしかしたらバックグラウンドで
完全な、完璧な詩を作成中かもしれない
ある日僕はそれを読ませられるかもしれない
でもノートパソコンには気の毒だけど
それがどんなすばらしい詩であれ
唸ったりしないつもりだ
涙を流したりしないつもりだ
ノートパソコンにサインを求めたり握手したり
ましてや人生について語り合ったりなんて!
僕は人間だから
君みたいに器用には生きられないのですよ。
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