明日にも明後日にもいつかはナイフを立てるのだろう/瑠音
 

ちゃんと誰かと向き合うことをやめた先週末
それた台風を恨めしそうにたどってみる指が
金曜の雨を思いださせる
死んだ言葉を弔うための言葉があるから
人はののしりあう言葉に困らない


あの時も
島まで泳いで行こうとしたわたしたちの中で
一番早く引き返したのはわたしだったじゃないか
あのころの夢を最近良く見てしまうから
ああ、今日も
あの日という一日にナイフを立てている
思春期なんてうまく飛び越えたはずなのに
無表情にすごしたつけがきてる
こんなところにきてる


いつか神様だと信じたものが今は見えなくなって
その代わり両手いっぱいのナイフで
自分を守ること
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