フェンス越しの夏にサヨナラを/りぃ
曖昧な言葉の波に飲まれている
夏の陽炎、幻と思い出の中で
君を失くした日を消しゴムでランダムに消す
消し忘れた心の奥で
君がいつも笑うから
私はいつも不安になる
フェンス越しに見上げた空が
突き落とすように青過ぎて
もう戻れない
あの頃でも、いつかでもない
そんなところへは決して帰れなくて
振り向いてと願いながら
振り向かないでと祈る
矛盾と静寂
BGMでしかない夏虫(セミ)の声
たわいも無い進路相談の話
空調設備の無い学校で部活動
不恰好な音しか出ないホルン
それでもあの屋上で
君は歌っていた、一人で
手を取り踊れば
私達に怖いものなど無いと
そう言えれば良かった
君の闇は私の光
眩しすぎるほどの
とおい、夏の日。
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