秋のベランダに谺する 唖 唖/折釘
 
質の総称と認識いたしまして

 いとも容易く、微睡みのように結果は正確を極めて
 動きにあたるものみな 深化して静止するがごとく
 自己を 模刻としての存在の核に云う

 見た事はありませんがそういう純然たる名前の色彩を
 用いなければ再びこの手に落ちる事もないらしいので
 晴れやかな ひとときの邂逅ではありましたが


  私共に預かりもなく そうそろ落陽ですな

  …唖 … … ええ この鴉 越冬させませんので

 風として、私はもと来た道筋で雨を降らすためにあしからず
 光り栄えあるものとしては 決心して落ちるもの達の声をつぶさに
 聞き漏らさないようにしなければ もとより季節も成り巡らず
 さなくば貴方の永い夜の個に 安定した眠りの回帰も訪わず


  それではさよなら 羽撃きの鴉

  ベランダに谺する 唖 唖 



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