幸せのにおい/Ree.
目眩のような雨が降り出した。
六月のある日、窓の外を眺める夕暮れも近い時刻、私はふと空を見上げた。
幸せだ。ふと口をついた言葉に息を呑む。
本当にそう思うの?自問自答しながら部屋をぐるぐる歩く。
昨日の夜を知らぬ間に思い出していた。いったい、どうなってしまったのだろう?いつの間に、私は彼に心を奪われていたのだろう?
いつの間にか瞳の端ではいつも彼を追い掛けていて、無闇矢鱈に彼の似顔絵(らしきもの、と言う方が正しいのかも知れない)をノートに描いては壁にピンでとめていっているし、口づさめば甘ったるい愛の歌だし、ああ、全くティーンエイジャーの恋でもないのに一体どうなってるんだろう、とつい口元が綻んでしまう。
ふふふ。
夕闇が襲ってきても今日は恐く何かない。
もう、一人じゃない。
彼と、どこかで繋がっている、そう確信に誓い思いを胸に雨の匂いを思いきり吸い込んだ。
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