手のぬくもり/天使
冬の寒い夜、雪が降ってきた。
「きれいだね。」と君がかざした手に落ちる雪はとけていく。
けれど、僕の手に落ちる雪はとけない・・・
君の握った手は暖かくてやわらかいのに、
僕の手は、冷えて冷たく硬い・・・
人間じゃないから。
いつかは君も死んじゃうんだね。
僕は壊れるまで動き続ける。
僕の気持ち・・・それはウソじゃないけれど、
僕は人じゃない・・・。
この身体は君と同じ、人の手で作られたんだ。
僕の記憶もこの感情も、この身体もすべてが・・・
僕じゃない・・・誰かの手で僕は今動いている・・・
そう思うと恐くて、こわくて・・・・
君への想いまで、ウソじゃないかと・・
すごく恐い・・・僕は君を愛する資格なんてないのかな・・・
もし今度生まれ変わるなら、
おねがいします・・・
人という生き物にして下さい。
年をとる、命ある生き物にして下さい。
大切な人にぬくもりをあたえられる生き物にして下さい。
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