シノギ/捨て彦
 
わ」
「ようゆうでほんまッ」
「ほな今月分貰おか」
「あ、はいはいと」
「兄貴にゆうてもらうまえに用意しとけや」
「あ、はい、すんまへん。ちょ、ちょっと奥にとりに行きますよって」
「さっさとせえ」
「へい」



と、ゆうて店の奥に引っ込んだまま、ここの主人、なかなか出てきよりません。その間二人は、入り口の近くでじっと待っとりましたんですが、サダのほうは自然と身体がスマートボールのほうに向かっている。といいますのは、実はこの男、スマートボールが大の好物なんでして、暇な時間があればここに足が向くという、実はこの店の常連なんですな。そやさかいここの主人とも知らん仲やないんでして。
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