惑する夜/かぜきり
よぞらをひとさじ すくってくちへ
したにとどいたそのあじは
実に甘美でほろ苦く
獏なるほうへと私を誘う
ゆだねてしまへと
迫にささやく
こえの主はいずこであろう
ここよりちかき奈落の底か
ひがよりとおき桃なる原か
くらうものなぞないとゆだねて
逆毛振り立て葉をさざめかせ
笑みを作りて突と理る
からのえみとて こぼさぬものよ
ゆだね購うものならば
このままかかえて
葦を伝うさ
きづけばきえぬささやきよ
友と語らぬ世の糧よ
虚ろにまばたく星を擁いて
今宵もともにねむろうか
戻る 編 削 Point(1)