五十三回目の夏に/狸亭
 
暮れ
結婚はと問うと「女は苦手」

ああ二人っきりになりたい
帰ろうとする男の腕をとる
優しい男の胸に顔埋めたい
もう夢中全身を血がめぐる

真夏の夜の都会に浮かぶ城
もつれあった二人の男の影
掛違う恋ごころと仏ごころ
エロビデオTVの色仕掛け

充血した目剥き出しの陽根
興醒め顔の男の酔眼に映る
二人の男趣味の違いは歴然
一瞬の終末のファスチバル

巡り来た五十三回目の夏に
思いもかけない体験でした
西新宿の行きつけの酒場に
辿りついて物語をしました

(押韻定型詩の試み 1)


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