縁取られる光、闇に消えていく思い出/チャオ
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人間は眠らない。地球が休んでいるそのときも、テレビのコンセントを差込み、スイッチを入れてやれば、顔立ちの整ったアナウンサーが、今日の出来事と昨日の出来事、遠い国の出来事と、自分の国の出来事をいろんな表情で話している。
寝起きにコーヒーを入れるまもなく、枕もとのメモに目を通す。走り書きにもならない乱雑なイメージがそこにあって、すでに、夜の興奮はそのメモからは抜き取られている。ただ、体は覚えている。夜の興奮の残り香を。
苦笑いをして、シャワーを浴びにいく。鏡に写った髭を丁寧に剃る。冬よりも幾分冷たく設定した水温で頭を洗うと、朝に忘れていく言葉の群れが決まる。限られた言葉だけ。、今日もいくつか
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