曲がり角/
フォマルハウト
あのころ
あなたの優しさに包まれて
ふたりで歩いた一本道
あなたが消えてから
ずっと近づく
勇気がなかった
この通り
寄り添った肩の
あたたかさ
出会ったことを
大切にしようって
力を込めた大きな手
まぼろしのはずなのに
何もかもが
あまりにも鮮明すぎて
別れ際
いつも抱きしめてくれた
曲がり角で
電信柱に額を埋めて
わたしはまるで
子供のように号泣した
ありったけの意地を
使って開けなかった
携帯電話を握り締めて
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