夏の白昼夢/蝶番 灯
儘僕を攫って行ってくれるなら
僕は少しの寂しさも厭わないだろう
枯れた水仙を嘲笑(わら)うように
水芭蕉は一斉に咲き始めた
君はどんな時の僕よりも
汚れた酸素 潰れた平穏を
とても良く知って居るんだ だから
僕は解ってる 君は本当に優しい人種なんだ
無駄にしたくない
君の掠(す)れた眼の奥に在る素敵な事
良いか、此の繋いだ手を どうか 離さないで
何処迄離れていようと 僕は君を見逃したりしない
君の言葉、君の心の微々たる動きの
どんな所も どんな時も
、ずっと
君が 息衝いてる 事象
君の 笑った時の 光を
僕は 僕は未だ 待ってるんだ
僕は 僕は此処で約束しよう
君をちゃんと見てるって そう
霞んでいく 青い夏の 遠い空や
輝き過ぎる 白い朝の 光に
君が 消えて行ったりしないように
僕は君の手を 離さない
だって僕が君を好きだから
戻る 編 削 Point(0)