時間の迷子たち/後期
街で、ときどき
時間が迷子になる。
角を曲がれば、
昨日の午後三時がベンチの下でそっと息をつき、
十年前の雨が歩道のひび割れに溜まっている。
まだ来ていない朝は、街灯の影の隅で、眠ったまま。
私は、その時間を拾う仕事をしている。
古い懐中時計と小さな網を手に、
迷子の時間を胸のポケットにしまう。
広場の隅では、少女が十年前の雨を指先ですくい上げる。
雨粒は彼女の掌で銀色に光り、ひとつひとつが小さな記憶の欠片に変わる。
触れた瞬間、幼い頃に泣きじゃくった夜の感覚が蘇り、
涙がひそやかに頬を伝う。けれど悲しくはなく、胸がそっと温かくなるだけだ。
カフェの窓辺で
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