『だいすき! 僕の運転手さん』/鏡ミラー文志
へ行くのが正しい場所と言いました。人に限らず宇宙の中を彷徨い、漂流した隕石だって、流れ流れ辿り着いた末に今、落ちているその場所が、正しい場所という気がしています。隕石も人間も自分の意思だけではその場所に収まれない。周囲の環境や因果関係によって、神の法則通りにその場所にいることが出来る。それを正しさと呼び、そこへ安全に運び入れてくださる運転手さんが僕は大好きです。バスの中からは様々なものが目に入ります。人工物、看板。自然風景、樹木。それらのものをゆったりとしたリズムで揺れながら眺めるのが僕は大好きです」
文志君がそう言い終えると、教室は拍手喝采。
「みんな。みんなの挙げてくれたハリウッドスター、カメラマン、テレビタレントさん、お父さんお母さん。そう言ったものへの尊敬を語るのも良いけれど、文志くんの何気ない日常の風景の中に見える尊敬を語るのも、通好みで先生は好きだなあ」
感心する人、嫉妬する人、気に入らない人もいたでしょう。とにかく文志君の発表は大成功を収めたのでした。
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