消えない一行/後期
 
、紙が一枚入っていた。そこにも同じ一行が書かれている。

「昨日の夜、あなたは誰かを見た。」

その下に小さな文字でこう書いてあった。

「確認のため、近日中にお越しください。」

私はその意味を理解できなかったが、どうやら私が何かを見たことになっているらしい。
しかし、昨日の夜のことを思い出そうとしても、どうしても思い出せなかった。

役所の建物は、街の外れにあった。
薄暗い廊下を通り、番号札を受け取り、順番を待った。

やがて名前を呼ばれ、小さな部屋に入った。
机の向こうに座っている男は、書類をめくりながら言った。

「あなたは昨日の夜、誰かを見ましたね。」
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