小説の習作 原稿用紙三頁 #27/田中教平
 

 彼は脳に障害を負うた身でありつつ、以前山の中の一軒家に家族と住んでいたのであるが、その暮らしに満足していた。しかし、家族で、市内の中心部に引っ越す事になり、彼は、勤務地が、その山の中の家から近かった事もあり、引っ越しを拒否した。すると、山の中の家に一人、取り残される形になってしまったのである。
 確かに彼は成人した大人であった。しかし明確にハンディキャップに苦しみ、気分不安定が度を越し、寝込んでしまった事も多々見受けられた。
 その、自分を一人残し、引っ越してしまった家族の動向というものに対して、今、冷静になった頭で、考え直してみようと思ったのである。
 そうすると、全くあんなに仲の良
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