巌/栗栖真理亜
白洲は波のようにうねり
鋭い嘴と鶏冠を持った鶏のような岩が
大小向かい合って立っている
しとしとと降り出した雨を気にしながら
赤い花柄の傘をさして広い縁側にじっと座り
東福寺の庭を眺める
まるで全ての空気が吸い込まれて
そのまま息となって吐き出されるように
柔らかな緑がむせかえるほどの勢いで
眼前に迫ってくる
時間は少しずつ幅を狭めてきているようだ
体はまるでチョコレートのように
優しく時に流され溶け出してゆく
あと少し
あと少しここでじっとしていたい
白洲の上に自由奔放に佇む岩の群れのように
時間などとうに忘れたかのように
私も禅寺の庭の巌と化す
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