droneの涙/月乃 猫
 


青天の一点に
私をみつけた少女は、
手をさしのべ、
白い なんて大きな紙飛行機とよろこぶ
その笑顔が
一瞬の間に 吹き飛ばされることなど
知りようもないのに、

だからあなたは、早く逃げて、今すぐ、
すべてを捨てて、

マイクロ秒の衛星システム
無慈悲なその精密さに
眼に見えぬその電波で、
子供たちを確認する痛み

少女が天国への道を迷わぬよう
そして、
微塵も残さぬ 凄惨な爆死に
この身を亡ぼす

子供たちの両親の 兄弟の
苦しみや痛み
叫びや
怒りも
罵声にこめられた
復讐の決意を
この身に刻み、

兵器は、涙をながさない

哀れみは、入力されず
それでも、どこからか湧きおこる
私の 
この悲しみは、
この苦しみは
この後悔は、なぜ

それなのに、
ふたたび会った少女は、
ちぎれた指のその手で
首頭を垂れた私の
翼を そっとなでた




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