小説の習作 原稿用紙三頁/田中教平
 
いる内に、やはり段々と自信が無くなってきた。
 実際、わからなくなった。
 そうして、彼の詩論によれば、詩と煙草は密接に関係があった。
 どちらも刺激物である。そうして、こういった刺激物に関しては必ず愛好家というものが存在する。
 但し、詩は悪いものであるから、触れない方がいい、とは言われない。しかし、ユウスケは文学には毒、というものが存在するし、その毒が体の中で何周回ったかで、アイデンティティのように錯覚してしまう可能性のある大変扱いに困るものだとも考えていた。
 彼は主観的である事を自負していたが、その反動で、なるべく客観的に物を考えたいと思っていた。
 話をするべく馴染みのバーに行った。
 ウイスキーを飲みながら、夏目漱石の「こころ」に出てくる「先生」みたいな方が、興味深く話を聞いてくれたが
「それは丸ごと話にしなきゃそもそもあなたの書く事なんて生活の事だけで悩んでいるんだから」
と言われた。 
 午後六時、彼は自宅に帰り、原稿用紙に向かって、思いの丈を書いてゆく事にした。

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