小説の習作 原稿用紙三頁 #22/田中教平
さぐって書いていたのだった。ず、ずるい、とユウスケは思った。
できた歌を読んで、ユウスケはカナがとにかくいつのときも、向日葵を詠みこんでいる事に気づいた。
ユウスケは段々体調が悪くなってきた。急いで頓服を服した。彼はカナに、短歌の批評をお願いされた。
「体調が悪い」
「ねぇ、この歌のどこがいいの」
「だから体調が、悪い」
ユウスケは、短歌とはバックホーンとして皇室が存在する、と明確に考えていたし、だから草の民の人間として、その生活を赤裸々述べていけばいいのだと思っていた。
しかし若山牧水全歌集を通読してゆく過程で、やはり日本人の自然観に対する意識の問題を若山牧水ルネサンス、というが、孕んでいると、『今』考えていた。
彼が山の中の一軒家に一人暮らしをしていた頃、日曜日になると決まって庭に腰かけて雲とは何ぞや?森とは何ぞや?と無為な時間を過ごしていた事を思いかえした。
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