小説の習作 原稿用紙三頁/田中教平
じぶんは、眼を酷使し過ぎた。屑が詰まっている感じ、といえばそうであった。
彼は原稿用紙に目を通した。
もう、彼の目は眼鏡なしでは仕事にならない事がわかった。ともかく、眼鏡は。
妻のカナが帰ってきた。
「一人だったから、時間充分にみれた」
化粧品の戦利品を机に並べながら言った。
ユウスケは原稿用紙に向かっていた。
「眼鏡をなくしたんだ」
「嘘?ほんと?」
「どこにあったと思う?」
彼女の顔が真剣になる。
彼は言った。
「浴槽の中」
カナは彼に対してコーヒーを買ってきた。
しかしユウスケは早々、こころを開ききれない部分があった。
それは彼女に「自分の小説に対する態度」を未だ充分に説明できていないからであったし、何より準備不足が多かった。
そうして、彼は黙々と、私小説の習作、文章修行に戻っていったのである。
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