映画『PERFECT DAYS』──あるいは安全な賭け/中田満帆
ヴィスらしく見えなくもなかったが、この作品のなにひとつとして平山を変えてしまうものは登場しないのである。いったい、作品を通してなにを観客に与えたかったのだろうと索漠たるおもいに駈られる。人間や社会からきれいな部分だけを刳りぬいて並べ立てたこの映画によって観客はいったいどう変化すればいいのか。社会から透明化されたルンペンの男もやはり物語にとっては都合のよい飾り立てに過ぎない。
清掃人に僧侶を見るのはなにも勝手だが、実際に公衆便所を職場とする労働者はこの映画に於いて疎外されている。そこへ来て表にひっついてる日本財団や、トーキョートイレット・プロジェクト、デザイナーズ便所たちを設計した隈研吾ら、
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