映画『PERFECT DAYS』──あるいは安全な賭け/中田満帆
ら、ユニクロ柳井氏の子息など、金と欲に事欠かないもろもろが無批判に現れていて、とても居心地がわるかった。映画作家として今作は安全な賭けごとで、だれも損はしないことが最初から決まっていたのだ。ラストの役所広司の顔面アップは正直顔芸にしか見えない。どうにもヴェンダース世界の日本人像は小津映画で止まっているように思える。演出や映像の質感に時代的なフィルターをかけて観ればふさわしいのかも知れない。古書店の店主が一方的に喋るくだりなど、現代日本を舞台とした作劇には合っていないような気がする。後半に登場する妹とと対話も、古き善き日本の人情映画をやろうとして失敗しているように見えてしまった。個人的にこの映画を通
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