半神/凍湖
 
鏡に頬をよせれば
曇りガラスの向こうの双子が
おいでおいでをする

小学校の七不思議
深夜の階段の大きな鏡の前に立つと
十三番目の段が現れ
あちらに連れていかれると
そういう話があったが
そんな時間に学校にいることはなかったので
ほんとのことは知らずに大人になった

脳までヒタヒタに疲労がしみた晩は
安酒場に行って
冗談みたいに大きいグラスでハイボールをもがき飲む
疲労と元気の境い目を曖昧にする目的で
さらに大きな疲労を求むる

いつから辞めたのだろう
毎日教室の隅に
連れ出して
あらん限り殴って刺して絞めて
ずっとそういう景色を見ていた

あの所業を
まだ覚えてるだろうか
曇った鏡の向こうの
もうひとりは?
おのれの皮をめくったあとの、わたし………


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