いつか夢中になった漫画の指痕/秋也
 
再生機器が死んだ

死んだ再生機器

声が聴けないね
聴けない声

憶えているから聴きたいのか
忘れてしまったから聴きたいのか
ただ思い出したから
再生させたいのか

また会えたね
多分一度も会っていないけれど
たぶん綺麗に手を振ってくれている

壊れているから
どんな顔なのかわからない
横線がずれてさざめく
ノイズは真実
それだって再生されればだ

コミックの小口と地が黄ばんだ
実家にある単行本みたいに
静かに静かに再生機器は機能を失う

もう一度聴きたいな
もう一度会いたいな
何度だって生きているのに

まだ生きるのに
生きるのにまだ
金色メダカと白い爪切り
もう夕焼けが終わっちゃうよ


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