雪女/月乃 猫
 



雪でございます

ひとり男が、泣いておりました

昨日のそれは、
容赦のない吹雪 誰も、
その仕打ちを じっと
かみしめておりました

山の機嫌をそこねた
地吹雪と、
己を責める雪でございます

今は、
陽光の、
雪の原に散り輝く
星のまばゆさが、
純白を広げております

時おり
風がその矛先を 無邪気な子どものように
こちらに あちらへ
粉雪をまいあげてまいります

雪間
男の慟哭に
見降ろす
女の瞳は、
その先に待っているものを
ただ知らずにいるようでございます

氷付く
雪を踏み
凍てつく斜面にたたずむ男に、

途方もない
己の
苦しみでも、
痛みでも、
悲しみでもないそれに、

じっと見つめ 雪化粧の女は、
うなずき
一陣の雪の舞いに 
男の傍らに姿をあらわし
命をかけた 冷たい
氷の口づけを
致しました



 ええ、
おっしゃるように
物語は、まだ
始まったばかりで ございます・・・







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