永ちゃん/うめバア
 
二人の男が外套の襟を立て
いずれも少し背中を丸めながら
ホームに立っていた
少し離れて並ぶ
1月の
東急池上線 大崎広小路駅
今日は風が、とても冷たい

「野口五郎とかな」
「布施明とかさ」
「ああ」
男たちは歌手の話をしているのだ
「永ちゃんはな」
「永ちゃんは、シビれるよな」
「そうだオレ今度永ちゃん歌おう」
「永ちゃんいいよな」
「いいよぉぅー」
「永ちゃんなあ」

永さん、ではなく
永ちゃんというからには
永六輔ではなく
矢沢永吉
であるに違いない

彼らよりも少々遅れて生まれた私には
永ちゃんは少しお兄さんお姉さんの音過ぎて
通ってこ
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