メモ3(今のこと、音楽、人間のこと)/由比良 倖
う主体性を稀薄にした「あ」を、ただ奏でてみる。音符の中で、どの音が一番重要だ、というものが無いように、全ての単語を「あ」と等価なものとして扱うこと。世界は音楽に限りなく近い。僕にとっての言葉の楽しさは「石ころが浮かぶ」みたいな、常識に反することを書くことでもなく、また「青い季節」とか「暮れ行く甘さ」みたいな、映像化出来ないことを書くことでもない。単なる指というハードウェアに成り切って、フラットな意識に受信された何かを、ディスプレイに叩き付ける作業に没頭することが、何より楽しい。
「何を書こうか」とか「どう書こうか」と思案するとき、書く楽しさは激減する。書くことは即興演奏に限りなく近い。書かれ
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