煮しめの匂い/
花野誉
部屋を開けると
煮しめの匂い
ああ、そうだ
私が作ったんだ
この齢にして
初めて作る御節料理
母を真似て
視線が交わせづらくても
何をしていたかは
子どもの頃から見ていたから
感嘆する夫
すこし誇らしい心
寂しさに手を添えながら
こうやって
ひとつ、ひとつ
変化を受け容れて
年を重ねるのでしょう
そして
次の扉を開ける
三重の重箱が
成長の印
幾歳経ても
新しい私
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