詩は衰退したのではなく、移動した――日本詩歌ジャンルの制度と影響力/atsuchan69
 


 そのため、今後の詩壇に求められる役割は、「発信の場」であることよりも、「蓄積の場」として機能することである。そこでは、即時的な評価や反応を前提としない読解が行われ、言語の構造や歴史的背景、表現の可能性と限界について、繰り返し検討される。詩誌や同人誌、少部数の出版、朗読会や研究会といった小規模だが継続的な場は、そうした営みを支える具体的な基盤となる。

 このような「中心から離れた場所」は、社会や他の文化領域と断絶した閉じた空間ではない。むしろ、音楽やポピュラー文化、インターネット上の言語実践など、現在進行形で影響力を持つ表現を、競争や模倣の対象としてではなく、批評と翻訳の対象として引
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