竪琴と寓話、または水滴の状態/牛坂夏輝
 
であって
歴史家たちが
体毛を持ちながら語る
出来事ではない

私は校舎裏に埋まっている

音も水も可憐な獲物たちも
同じ
風と
瓦礫の
身体感覚で
呼吸している

それは寓話である

竪琴は折れ曲がり臓物を吐き出し
臓物の内部の
青い空を
小鳥たちが横切る

寓話は口を失い
薄らいだ季節の記号についてだけ
語るようになる

水滴は床の上で震え
無数の吐息の信仰を待っているようだ

小さな煙が
最良の肺を調律しながら
放浪する独自性の食事を
待っている時間に

いま床は濡れていない
習慣の終わり
夜を設計したアーチ状の体温は
まだ誰にも触れられていない

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