サブスタンスD 、ヨアケマエ/ひだかたけし
とほひ翳りのうちに
呼び起こされる
自分が自分であることの
記憶の奥処 、光を掲げ持ち
官能を照らし誘うもの
最早枯れることなくずっとずっと
この上なく美しく咲き誇り続け
真っ赤な花の蕾を次々と
幾つも幾つも開花させ
エクスタシーに眩暈し麻痺し
次第にばらばら罅割れる
割れんばかりの快楽の奥処 、
ぬらりぬめり姿現すグロテスク
肉身のとろりどろり溶け出し腐り果て
乾いた髑髏の手拍子シャンシャンシャン
一斉に立ち上がる剥き出し無機質の
壁紙やら襖やら旧き物の充満した一室全て
襲い掛かり奪いに来る私自身を剥奪しに
意識の己個人から呑み込まれ尚も持続する現恐怖、三度再び
?
小さい頃から
紛れもなく ちゃんとね
光の翳り漆黒へ
誘い手を引くモノ
表現出来なくとも
自分の内に
しっかり宿り生き
美味なる悪夢の繰り返され
今に至れば強く意識しつつ 、
神様だけでなく悪魔もまた
〈私〉の内に宿り在ると
(この薄っすら光射し込む時間帯の
妙な奥行きは何だろう?)
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