あゝぼくを助けてくれ!/百(ももと読みます)
 
無とする瞬間に、宿るものが思いつかないから、命だって、祈りだって、言葉だって、必死で主張したいだけなのかと。



 診察室で、なにもいうことを思いつかないことは、はじめてだ。いうことないけれども、お話しすることで人形みたいに無情でね、人形となれないニクであり、無面目めいたもののあわれの片鱗も、ぼくには、まるで備わっていないことを知っている。



 とまらないんだ、がんばろうって。ひとの差しだした手のにぎりかたを知らないまま、がむしゃらに生きることで乗り越えられるものはないよ。



 泪がでないことに気づいたあとで急に泣くような人間を誰が信用するというのだ。殺され慣れた明日にかける橋として、それでも、がむしゃら生きるだろう。



 ぼくを人間に変えてください、ぼくは人間なんです、人間でも人間ぢゃないくらいよわむしなんです。ぼくの手をにぎりかえして欲しい。そんな甘えで泣いてしまう。なにもかも、ぼくがしねば救われるセカイだって、あるのだろう!

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