ひととおりの眦と/あらい
柄だ/この手は、せいいっぱい、なにも持たずに完璧を保ち続ける迫真の演技でしょう
純然な火脹れに障る仕草だからキセキに成らない、断言――
そこへゆく、ゆくための今が、いまそこにあったようななかったような。ほんのすこし口を継いでくっきりと移りだす。誕生する暗号を「一通りの眦と、」おいていった。だが今夜は顔を上げるといくつかの橋が架かる。不自由で他愛もないから愚かだった、海図なき後悔に題の字をひいた。折り目正しい風が偲びなく嚥みこむから、また欠けた爪を砥ぎながら 欠伸をする蛍雪が漏れる瞼をのぞかなくて、はらはらと あゝいやだわ
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