ひととおりの眦と/あらい
たまらなく眩しいようでおなじ色にしたばかり。まだ砕かれまだ潰される。私が私のまま ふれることなく存在していただけ。こうしていたいとそうしたところで目を閉じてもムチャクチャなのはわかっていた。午前二時の消印に擬態して等身大の啓蒙みたいな 座敷をうろうろする他意はなかった。おぼつかない伽藍ともオオルリのムクロはみられなかった。もつれた水気が肺腑にみる。ここもまた尾をひいたような隠し子
のんきもののお化けのように(ふりほどこうと風は窓を醜く叩いた
わっという仕草で、すくんでいた。)街中のタラップが露わになる
まもなく押し黙った慈雨がとりみだして
じゃあ口惜しいと訴えている耳に似た鱗を
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