隣のトロ/りつ
 
で、大間の鮪のトロを出してる。
考えられないことだ。
もちろん、隣のトロは知っていたのだ。
嫌味なやつ。
男は顔を真っ赤にして、
「こんな店、二度と来るか!」
とお決まりの捨て台詞を残し、去って行った。

客の1人が歌い始めた。

 隣のトロ取ろう
 とっ取ろう

店内は爆笑の渦に包まれた。

良い気分だった。
例え明日から、3日に1度の塩むすびを食べることになろうとも。


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