アパート(修正版)/板谷みきょう
 
って落ちていった。

 それは悲しみと一緒に、
 わたしが抱えていたあなたの面影を
 世界へ返す儀式のようでもあった。

 冷たくなった靴下を広げたとき――

 胸の奥で、静かにひとつの灯りがともった。

 あなたが居ないから、この部屋が寂しくなったのではない。

 あなたの優しさに背を押されて、
 わたしがこれからこの部屋を満たしていくのだと、
 はっきりわかった。

 そして――
その想いだけで、もう一人ではなかった。


※原作の歌詞「アパート」を短編小説に修正しました
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