二度童子の魂を運ぶ白鳥の話/板谷みきょう
 



「……来てくださったのですね。」


おばあさんがそっと手を伸ばすと、白鳥の羽は夜風のように軽くなり、
触れた瞬間に、重さという重さがほどけていくのでした。

魂は、静かな光の方へとふわりと浮かび上がります。

白鳥は夜空へ舞い上がり、七つの星のひしゃくを渡るように飛んでいきました。
ひとたび羽ばたくごとに、銀の光があたりをやさしく照らし、
村の屋根を淡い揺らぎで包みました。
それは涙の河を渡る魂に寄り添う、静かな道しるべのようでした。


村の人々は音もなく空を見上げ、子どもたちは胸に手を当てました。
夜の深みに吸い込まれる光の軌跡を、祈るように追い続け
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