二度童子の魂を運ぶ白鳥の話/板谷みきょう
続けたのです。
夜明け。
おばあさんの家の前に、ひとひらの白い羽が落ちていました。
露をまとい、かすかに七色の光を宿しています。
それは、虹がまだ村に名残を置いていったような美しさでした。
子どもたちは羽を抱きしめ、そっと思いました。
「おばあさんは、子どものころ見た夢の国へ帰ったのだ」と。
それからというもの、雨上がりの虹を見るたび、村人たちは空を仰ぎました。
姿こそ見えなくとも、手に触れることはできなくとも、
悲しみの向こうにある静かな優しさがそっと胸に寄り添うのを感じるのです。
白鳥は今日も、透明な翼で魂を夢の国へと運びます。
虹のふもとでは、おばあさんが涙の河の岸辺に立ち、
かすかな光の中で微笑んでいることでしょう。
※原作の歌詞「二度童子の魂を運ぶ白鳥の歌」を創作童話に修正しました
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