二度童子の魂を運ぶ白鳥の話/板谷みきょう
 
がります。

おばあさんは窓辺に立ち、虹を見つめました。

「あの橋が、青空に溶けてしまう前に……」

胸の奥で、忘れていた夢の国の歌が、
ひっそりと目を覚ましました。

やがて虹は暮色に溶け、空には七つの星が整いました。
金色の柄杓をかたどり、静かにふるえながら輝いています。
その光をすくうように、白く澄んだ一羽の白鳥が、
音もなく庭へ降り立ちました。

おばあさんは戸を開けました。
白鳥は羽をひらき、深く首を垂れました。
その姿は、誰かがずっと前に交わした約束を、
静かに思い出させるものでした。

胸の奥では、長い孤独を包むような温もりがひろがります。

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