メモ/はるな
作用のことを考える。水の輪について考える。あるいはあめんぼの足が跳ねる小さな水滴のことについて。雨の日の蝶蝶について考える。傘の色について考える。からからに晴れた冬の一日について考え、落葉した木に止まる椋鳥について考える。街の烏と山の烏について考え、あっという間に伸びる娘の爪について考え、夫の靴下についてを考える。それを履いて仕事へ出ていくことを。あんなにまじめに数字について話し合う大人たちの爪がみんな清潔な布に包まれているであろうことを。思考が祈りにスライドしていくとき、わたしの手足は生活に接している。祈りのなかにある夫とむすめは、実在ではなくて、なんというか光の粉みたいなものだ。実在は祈りの外
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