メモ/はるな
 

小さくて深い傷穴に針を刺しこむような気持がしている。それか、随分前に打ち込んだ杭を今抜こうとしているような。わたしは思考の両端にいる。折りたたまれて、極が混ざりそう、その心地。

けれども、深く考えられない。つむじからはじまった思考が、額の内側に留まって、喉元まで到達しない。この額に重たい水たまりのようなものたちが、いったいなにか、考えていたはずなのに、ひとつもわからない。ぶよぶよと重たくたまっていく。前のめりに、うつむきうつむき、その姿勢でできることを探して、手当たりしだいに編んでいる。

空間は絶えず収縮しているので、立ち上がるのに用心が必要です。転んで、けがをしないように。でもそ
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