久しぶりの日記/由比良 倖
僕は世界は音楽のようなものだと思っている。全ては鳴っている。何故鳴っているのかは分からない。でも多分、本当の静謐は、イコール音楽なんじゃないかな。それともあまりに完璧な静謐は、それ自身が静謐であることに耐えられないのかもしれない。やむにやまれず鳴る音楽が、僕が住んでいる、この世界なのかもしれない。カラフルで、柔らかく深呼吸すると、唇に酸素を含んだ湿度が染みて、心の中ほどが潤む。街中もあれば、スラムもあって、深海も砂漠も、奇妙な造形に満ちた都市もあるこの世界。
12月1日が僕の誕生日で、今日は2日。なかなかに幸先のいいスタートだ。生きよう、生きて何もかもを知ろう、という気に満ちている。
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