孤独な鳥/杉原詠二(黒髪)
鳥はひとりぼっちで
仲間の歌を聞いたことがなかったので
遠くへ旅立つことにした
クマさんが近づいてくる
「今日もいい天気だな」
鳥は言った
「旅立つのさ」
クマさんは答えた
「達者でな」
鳥は羽ばたいた
空へ舞い上がり
遠く北の方角を目指して
一直線
生まれてからの束縛を
すべて振り切って
秘密にしていた
力強い羽を
推進力にする
鳴いた
鳴いた
嬉しくて
北の方に森が見える
あそこへ行こう
仲間を探しに!
クマは思った
「腹を空かしていないといいがな」
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