寂れた窓/
山人
寂れた窓は動かないふりをし
ひたすら外に目を向けていた
季節の香は失われ
残酷なほどに生をむさぼり続けた
虫はいない
寂れた窓にとって
そういう喧噪ははなはだ懐かしく
色合いの違う風に吹かれては
物思いにふけるのだった
季節が代わるということを
これから見つめることとなる
しかし、それが長いという認識は無い
かすかに残る自我の中に
少しだけ
寂しいと
思うのだった
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